涙があふれて、とまらなかった。
箱根駅伝8区、トップを走っていた順大の難波選手が、脱水症状を起こして、
意識朦朧でフラフラになりながら、“たすき”をつないだ。
途中、何人も越されてしまったが、順位のことなんてどうでもよくて、
とにかく、選手に危険がないように、
そして、できることなら“たすき”が途切れずに、と願うばかりだった。
個人のレースなら、とっくにやめていた状態。
箱根を走るのは、1チーム10人だけど、その10人がつなぐ“たすき”には、
チームメイトや、先生、先輩、OB、家族・・・たくさんの思いが込められている。
そんな“たすき”だからこそ、意地でもつなぎたかったはず。
とめる勇気、やめる勇気も必要。
難波選手も仲村監督も、ギリギリの選択だったと思う。
本人にとっては悔しいレースだったと思うが、
“たすき”をつなぐことができて、本当によかった。
難波主将の意地と勇気でつないだ“たすき”は、また来年につながる。